2008年03月12日 朝日新聞北海道版 より

育てテレマーク選手 国内初のクラブ誕生

   
■かかと自由 歩くように滑るスキー

 かかとを固定しないスキー「テレマーク」の国内初の競技クラブチーム「Heel Free Networks(ヒール・フリー・ネットワークス)」が、札幌に誕生した。合宿を開き、ゲレンデにポールを立てて練習に取り組む。日本テレマークスキー協会理事を務める上野英孝代表(30)は「レース出場のための環境をつくり、若い選手を育てたい」と意気込む。

 テレマークは足を前後に開き、歩くように滑るのが特徴。19世紀のノルウェーで生まれたが滑走重視のアルペンスキーに押され、しばらく影を潜めていた。

 スキーは今、パウダー(粉雪)ブーム。整備されたゲレンデでは飽き足らないスキーヤーが新雪を求め、雪山へ飛び込む。テレマークはかかとが上がるため山を歩いたり、登ったりするのに適している。

 レースへの認知度は低いと上野さんは指摘する。育成機関は全国的にもなく、選手は基本的に個々で練習するしかない状況という。

 スイスで07年にあった世界選手権に出場した上野さんは、各国の20代の若手の姿に衝撃を受けた。日本は30〜40代が中心。環境を整えないと後輩が続かなくなると危機感を持った。畑(はた)亜矢乃選手(22)に声をかけ、クラブを立ち上げた。

足を開いてひざを曲げ、テレマークの練習をする
選手たち=三笠市の桂沢国設スキー場で
クラブの選手たち。右下端が上野英孝さん
=三笠市の桂沢国設スキー場で
 参加者は、初心者からベテランまで様々。初めての人も歓迎する。練習では、05年ワールドカップ5位の上野さんが、斜面を滑り降りる選手の姿をビデオやカメラに収めながら指導にあたる。

 江別市の会社員阿野聡子さん(30)は、テレマークを始めて4シーズン目。これまではスキー場で独自に練習し、ポールを十分に経験しないまま大会に挑戦した。「合宿で上手な人に教えてもらえるのはありがたい。同じ目標を持つ人たちと知り合えることもうれしい」と声を弾ませる。

 「速さ、力強さ、感動があり、多くの人と交流できるのがレースの素晴らしさ」と上野さんは言う。その魅力を多くの人に知ってもらい、仲間を増やす活動を目指す。