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| 『平成テレマーク普及委員会』 〜1992TELEMARKERS (TAJ年報) TAJ ANNUAL REPORTより〜 | |
| 1時限目[道徳・スキーを習うときの心構え] 川上 敦 | |
スキーを習うとき、「自分の体型によく似たインストラクター」に教えてもらうほうが理解しやすいとよく言われます。また、夫婦やカップルが互いを教えあう場合、ケンカになりやすく長続きしにくいと言ったことがよく聞かれます。他人に習う場合よりもお互いの本音をぶつけあうためケンカになることもあるでしょうが、本当にそれだけのことなのでしょうか? 今回は、スキーを習うときの心構えについて例題を参考に少し考えてみることにしましょう。 ○体格(外見の違い) ここに身長160cmのAさんと180cmのBさんがいます。ともに体重は70kgです。太り気味のAさんとやせ気味のBさんが同一条件で同じ弧のターンをした場合、二人の動作やテレマーク・ポジションが同じようにあなたにはみえるだろうか? 下の図を見てください。 股下が同じ長さでも、筋肉や脂肪のつき方によっては実際には同じスライド量であっても違って見えることがあります。 ![]() ![]() |
![]() 問題のAさんとBさんには20cmの身長差があります。ということは少なからず脚の長さにも差はあることでしょう。右に挙げたことから考えると、太り気味のAさんはよりスライド量が小さく、やせ気味のBさんはよりスライド量が大きく見えることになり、二人のテレマーク・ポジションはまるで違うようにあなたの目に映ります。 ここで仮にBさんをAさんの大きさまで縮小してみます。つぎにX線を二人にあて、骨格の動きをとらえてみます。 ![]() 外見上の違いから異なって見えた二人の滑りも、このように骨格的に見ると、実際は同じようなポジションをとっていた可能性もあります。 |
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○体重差 はじめてツアーでザックを背負って滑ったとき、ゲレンデのときよりもターンがし易かったということはありませんか? 身体の動きを妨げない程度の重量(10〜20kg)を身につけ滑った場合、いつもよりも安定してターンができたり、自分の意識よりも小さな弧のターンに仕上がったりすることがあります。なぜだろう? 図を見てください。 ![]() |
一組の同じスキーに70kgの重しを載せた場合と、80kgの重しを載せた場合ではスキーのしなり方に差がでます。 ターンをする要因の一つに「スキーのしなり」があります。単純に考えて、小さなしなりでは浅い弧、大きなしなりでは深い弧のターンができることになります。ということは、70kgより80kgのほうがより深く短いターンをすることができることになります。 これを踏まえて、次の問題を考えてみましょう。 体重70kgのAさんが10kgのザックを背負って滑ったとします。Aさんは、いつものようにターンをしようと動作しました。ところが、心持少 しいつもよりスキーがスムースに方向を変えたような気がしました。どうしてだろう? ![]() |
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それは、Aさんの動作(意識)のほかに+1 0 kgの重量がスキーに荷重されたため、まえに挙げたような違いによってAさんの意識以上にスキーが方向を変えたためです。 今度はAさん(70kg)とBさん(80kg)として考えてみましょう。AさんとBさんがゲレンデでスキーをしています。二人が同じ条件のもとで同じ弧のターンをしました。この時、二人のターンの方法や感覚は同じものだろうか? いままで挙げたことから考えると、AさんがBさんと同じように滑るためには10kgの体重差を何らかの方法で補う必要があります。ということは、二人のターンの方法や感覚には少なからず違いがあるということになります。 以上2つの例から考えると、体重が重ければ重いほど有利であるように思われますが、そうとも言えないところがスキーの奥深さです。例えば仲間とツアーヘ行ったとき、女性はスイスイ滑るのに男性はドタバタしてしまうことがあります。とくにウインドクラストやモナカ雪の斜面でこのような場面に遭遇することが多いようです。 一般に、男性(体重が重い人)は表面の硬く締まった部分を踏み抜いたり、ときには深くスキーが沈み込んでしまい苦労することが多く、女性(体重が軽い人)はあまり踏み抜くことがなく、その硬い表面をスルリスルリと滑りさほど悪い雪と感じることが少ないようです。 しかし、水分を多く含んだ新雪(深雪)や深いザラメ雪では体重が重い方が有利な場合もあります。 同じ条件の雪質や斜面でも、体重の重い軽いによって感じ方も変われば滑り方も変わる場合があることを覚えておきましょう。 |
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「まとめ」 だれもが同じようにテレマーク・ポジションをつくり、同じようにスキーを操作し、同じように感じて滑っているかというと、そうとも言えないことがあるようです。体格や体重差ばかりでなく、身体の柔軟性・筋力の差なども滑り方に違いを生む要素のひとつです。 一般に ●背が低い人はスライド量が小さめで動きの少ない滑り方 ●背が高い人は長い両腕・両脚を大きく使ったダイナミックな滑り方 ●やせた人は上手くアンギュレーションを使い分けた滑り方 ●太った人はその体重を有効にスキーに伝えた滑り方 ●筋力のある人はよりスキーを踏み込んだシャープな滑り方 ●筋力のない人は流れに逆らわないスムースな滑り方 をする傾向にあります。 それでは、今回勉強したことを参考に自分にあった滑り方を見つけてくださいね。 (川上敦) |