特別寄稿 1992年TAJ年報 TELEMARKERS より
テレマークスキーと自然保護

矢村勝之

 T・A・J設立以来「もう9年も過ぎたのか」という年月の速さを感じながら新しいシーズンを迎えようとしています。9年前にT・A・Jの設立決起集会?がカザマスキーの2階で行なわれたときの写真を見ると、私もふくめてみんな若かったなあと感じます。
 先頃行なわれた理事会において、私と三谷専務理事のコンビで来年迎える10周年まで頑張ろうということになりましたのでよろしくご協力下さい。
 この10年間のスキーシーズンを振り返ってみると、以前に比べて確実に雪が少ないシーズンが続いています。テレマーカーは、山に入る機会が多いから降雪状態がよく分かるはずです。
 今、私の机の上にアメリカのジャーナリスト、ビル・マッキベンが書いた「自然の終焉」という本があります。多くの人が読んでいると思いますが、この本の中で、「決して地球がまもなく滅びるというつもりはない。明日も太陽は昇るだろうし、風も吹くだろう。雨も降り、われわれは生きていくだろうけれども、それは自然ではない、人類によって変質させられた現象だと、ぼくは言いたかった。」とあります。

 この本は単なる環境問題を書いた本ではなく、人類が生き続けるためには、新しい理念の創造が必要であることを訴え、人間一人一人の生き方をも問おうとしている本です。
 私たちが社会生活を営んでゆくこと自体が、何らかの形で自然を破壊しながら生きていくことだと言わざるをえません。スキーに行くために車を使い、二酸化炭素を吐き出しながらスキー場に行くことに罪悪感を感じますが、しかし歩いてゆくわけにはいきません。
 この状況を認めたうえで、自分にできる最大限のことをしたいと思っています。私たちは、人類の長い歴史の中でこの50年程の間に、再び修復できないほどに自然を破壊してしまいました。この50年間、私たちは石油を燃やし続け、木を伐採し、フロンガスを大量に使いました。その結果、気候が大きく変わろうとしています。


 オゾン層の破壊は、南極の一部にみられた現象でしたが、最近の新聞の伝えるところによると南米の一部でも同じ現象がみられるとのことです。
 酸性雨、地球の温暖化、森林破壊、オゾン層の破壊等その原因となるものは複雑で多岐にわたり、奥が深いものです。しかし、私たちがいちばん初めに行なわなければならないことは、ただちに、石化燃料の使用を減らすことです。空中に吐き出す二酸化炭素の量を減らすことです。
 私たちが、そのために個人の日常の生活の中で何ができるのか考えて、例えば、ディーゼル車に乗るよりはガソリン車に、車に乗るよりは電車にと、自分の出来ることから始め、この地球の自然の破壊を少しでも食い止めなければならない。そして、さらに自然を再生するために、何かをしなければならないと強く感じています。
 たくさんの学者が、地球の将来に対していろいろな計算をしています。地球の温暖化によって、気温が上昇すると南極や北極の氷が溶けて、海面が上昇し、それによって、地球上の多くの人が住むところを失ってしまうとか、あるいは農作物に対する影響とかを。
 当然山に降る雪の量にも変化があるでしょう。やがて、胸まで潜るような深い雪の中で滑ることなど不可能になってしまうかも知れません。人工降雪機を使い、標高の高いスキー場でだけしかスキーが出来なかったり、その内アイススケートのようにスキーは室内で行なうもの? だから・・・・・。